愛知県西部に位置する稲沢市では、毎年夏に「稲沢夏まつり」が開催されます。このおまつりは、地元の人たちが集まり、楽しい時間を過ごしながら、地域の魅力を再発見することができる、稲沢を代表する夏のイベントです。

稲沢夏まつりの最初の開催は、1986年です。これは、一般社団法人稲沢青年会議所が稲沢公園で実施した事業をきっかけに始まりました。その後、行政や市内の様々な団体が協力し、1997年には実行委員会が発足しました。それから現在に至るまで、毎年多くの来場者を迎え、40年近くにわたり続いている伝統あるおまつりです。


開催の目的と始まりの背景

稲沢夏まつりが始まったきっかけは、「地域をもっと元気にしたい、地元の人がつながりを感じられる場をつくりたい」という思いでした。昭和の終わりごろ、地域社会は少しずつ変化し、昔ながらの人と人との交流の機会が少なくなってきていました。

そんな中で、地元の団体である一般社団法人稲沢青年会議所稲沢商工会議所稲沢市が中心となり、地域の活性化と市民のふれあいの場をつくるために始めたのが「稲沢夏まつり」です。

この取り組みが徐々に地域住民に受け入れられ、年々来場者が増え、出店やイベントも充実。今では、稲沢市内外から約5万人以上が訪れる大きなおまつりへと成長しました。


稲沢夏まつりの魅力

1. 色とりどりの屋台がならぶ夏の風景

会場には、地元の商店や飲食店をはじめ、多くの出店者が参加し、焼きそば、たこ焼き、フライドポテト、かき氷、金魚すくい、スーパーボールすくいなど、昔ながらの夏まつりの楽しさが広がります。子どもから大人までがワクワクできる空間です。

屋台の並ぶ通りはまるで一つの“夏の商店街”。どこからともなく聞こえてくるお囃子の音に足を止めながら、家族や友人と一緒に歩くひとときは、夏の思い出に残ることでしょう。


2. 地元の魅力を活かしたステージイベント

メインステージでは、地域の団体や学校、ダンスチームなどによるパフォーマンスが次々と披露されます。例年開催されるのは、以下のような演目です。

  • 和太鼓の演奏:迫力ある音が会場を響かせ、観客を魅了します。
  • よさこい踊り:カラフルな衣装と力強い踊りで、元気を届けます。
  • 吹奏楽の演奏:地元中学・高校の演奏が、夕暮れ時にやさしく響きます。
  • ダンスショーやキッズパフォーマンス:若い世代が主役の明るく元気な演出です。

参加団体の多くが稲沢市内で活動しており、観客の中には出演者の家族や友人も多く、会場全体が一体となった温かい空気感がこのまつりの大きな魅力のひとつです。


3. 夜空を彩る感動の花火ショー

まつりのクライマックスを飾るのは、打ち上げ花火です。夏の夜空を背景に、色とりどりの花火が次々と打ち上げられる光景は、訪れる人々の心を打ちます。

打ち上げ数こそ全国規模の花火大会には及ばないものの、まちの規模に合った、間近で味わえる距離感と臨場感があり、目の前に大きく開く花火を家族や友人と一緒に見上げる時間は、かけがえのない思い出になります。



環境に配慮した運営と地域との連携

稲沢夏まつりでは、近年特に環境への配慮にも力を入れています。ゴミの分別、リユース食器の導入、エコバッグの持参呼びかけなど、参加者と一緒に「持続可能なおまつり」を目指しています。

また、地域の学校・企業・ボランティア団体などと連携し、まつり運営に多くの地元の人が関わっています。おまつりを「見る」だけでなく、「支える」ことで、地域とのつながりがさらに深まっています。


来場者の声

「子どもと一緒に行けるイベントが少ない中で、稲沢夏まつりは安心して楽しめます。花火も近くで見られて感動!」
ー 稲沢市在住 30代女性

「昔ながらの屋台や踊りが残っていて、どこか懐かしく、心がほっとする時間でした。」
ー 一宮市在住 40代男性

「地元の学校の吹奏楽部の演奏を聞いて、思わず涙が出ました。やっぱりこういう地元密着のまつりっていいですね。」
ー 岡崎市在住 50代女性


つながりを感じる夏の日に

「稲沢夏まつり」は、にぎやかで楽しいだけでなく、人と人、地域と地域をつなぐ大切な行事です。昔から続く伝統と、今の時代に合った工夫が組み合わさったこのおまつりには、誰もが笑顔になれる魅力があります。

暑い夏の日、浴衣を着て、屋台のにおいに誘われながら歩き、太鼓の音に心をはずませ、夜空に広がる花火を見上げる――そんなかけがえのない体験を、ぜひ「稲沢夏まつり」で味わってください。